The news

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数時間後、ヒナの手に残るのは真っ白な小さな箱だけだった。 「二宮さん、少しいいですか?」 そう声を掛けてきたのは総務部長の田中。 「もう、お帰りになられるんですよね?」 「あ、はい」 「それでしたら、出来るだけ書類のほうを――」 それからまた、書類にサインを。 「あと、寮の荷物を。処分するものは置いていただいても構いませんから」 そして、父親の暮らしていた部屋に通された。 寮と言うこともあって六畳一間の簡素な部屋。 物はそれほど多くない。 けれどどこからどう手をつけていいのか。 何が大切でどれが要らないものなのか。 「ヒナ?」 「あ」 立ち尽くすヒナを呼べば、彼女の髪が揺れる。 「うん、片づけだよね」 「無理するな。後で業者に頼んでも――」 「ううん、やる」 これが本当に最後だと分かってるから。
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