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彼女を腕に抱いてベッドの中に。
「ヒロ君……」
せがむような唇には甘いキスを。
それを甘いと彼女が感じてるかどうかはわからないけど。
細い指が彼を求めるから、それに答えるようにキスを。
唇から頬へ、耳たぶを甘く噛んで首筋に。
細い腕が彼の首に回される。
まるで抱きしめるように。
だから、唇を這わせて首元に。
不謹慎だとか、
不道徳だとか、
そんな考えよりも、
ただ身体が求めるままに。
それですべてを忘れられる訳じゃない。
心の隙間が埋められるわけじゃない。
それでも、
身体だけは満たされる感覚に、心を騙して。
「……ハァ、あぁ――」
「泣けよ」
どんな涙でもいい。
たった一粒。
それだけで救われる気がした。
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