Pray

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鬱陶しい雨が降り続く。 「ありがとね、じゃ、行ってきます!」 「俺も行くかな」 その雨の中彼女を見送って、彼はアクセルを踏み込んだ。 「ヒナ!」 「あ、唯。おはよう」 いつもの挨拶を交わしたのだけど、唯の表情は浮かないまま。 「どうかした?」 だから首を傾げてそう聞くヒナに、唯まで首を傾げたくなる。 「どうかって……、大丈夫なの?」 意味深な言葉にヒナも「あ」と小さく声を上げて困ったように薄く笑った。 「大丈夫、だと思う」 「思うって」 怪訝そうな唯の声にヒナは「うん」と頷いた。 「まだ実感が湧かないの。一緒に暮らして無いからかなぁ?」 そんな言葉には「……そっか」としか返せず、唯は小さく息を吐いた。 「あたしに出来ることはない? 手伝って欲しいこととか」 差し伸べられる手は暖かい。 「じゃ、学務部着いてきて。一人じゃ心細いもん」 だからそう言うと「わかった」と心強い言葉が返ってきた。
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