~2人の想い~

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~2人の想い~

---葦木場 譲刃--- 昨日は散々だった。 たまたま最後まで食堂で勉強していたら同じ学科の子に『合コンで1人足りないから来て!』って無理矢理連れていかれて、そして変ないけ好かない男に出逢って駅前で一本背負い。 おかしいでしょう? 絶対おかしい。 あの時、安藤零の悲しそうな笑い顔を見てしまって心が痛くなったんだから… なんだよあいつ。 「…ず?ゆず?大丈夫?」 「え?あぁ、大丈夫だよ那智」 そっか、って笑顔であたしを見てくる友人の南 那智。 ただ今お昼の12時30分。 あたし達は賑わう大学内の食堂で昼食を食べている。 今日の日替わりランチメニューはオムライスとオニオンスープ。ここのオムライスはかなり美味しい。 那智はAランチのご飯大盛り&コロッケパンとメロンパンを食べている。 細身で長い黒髪でこの大学内の誰よりも美少女なのによくこんなに食べるものだ、といつも思う。 「考え事?」 「うん。昨日さ、合コンに誘われて…すぐ帰ったんだけどさ」 「合コン!?え?ゆすが!?!?なんで!相手大丈夫?生きてる?死んだ!?」 「なんで死ぬんだよ。どんだけ命懸けの合コンなんだよ」 大爆笑しながらバカにする那智を見てあたしは机をガンッと叩いた。机に少しヒビが入ってしまった。 「ゆずよりイケメンな男子なんていなくない?」 「…いたよ。ハーフで身長高くて…いや、やっぱりいないわ」 「だよねー!ゆずはこの女子大で一番カッコイイもん」 ここは女子大。皆綺麗で可愛くて美人で周りを見れば全員女子。 その中でもあたしは毛並みの違う女子… 髪も短いし化粧もしないし服もメンズモノ。 でもあたしはそれがいい。 女の子が可愛くなきゃいけないなんて、そんな法律はない! 「別にあたしは普通だよ。」 「いいや、イケメンだよ。柔道黒帯で剣道5段に空手は師範代。武術出来るってすごいじゃん!!それに顔もカッコイイし!ゆずみたいな彼氏欲しいよ」 「…そ、そうだね。那智はあたしと違って可愛いもんね。すぐそういう彼氏出来るよ」 心がチクッとした。 それでもあたしは笑って言った。 あたしは 那智が好きだ。
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