1人が本棚に入れています
本棚に追加
「気安くあたしに触るな!!!葦木場家は名門道場だ」
「だ、だからっていきなり一本背負いって…っ!!!」
倒れた俺の髪を掴み、葦木場さんは
「安藤零。一生あたしに会わないでください。これからもずっと。では、さようなら」
警察が来る前に葦木場さんは駅の構内へと歩いて行ってしまった。俺は背中を擦りながらも立ち上がったが、なんも痛いところはなかった。
流石名門道場の人だ。痛くないように投げたんだな、と思ったけどいきなり人を投げる女の人に出会ったのも人生初だ。
「だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。ありがとうございました」
近くにいた女の子に声をかけられ、そう応えると
女の子は俺の髪についていたゴミを取ってくれた。
それだけで鳥肌が立った…
「あのー怪我してませんか?どこかで休んだり…」
「結構です。」
「あの彼女さん酷くないですか?いきなり投げるなんて…」
「俺が悪いんで大丈夫ですから」
なんやかんやで見ていた女性達が寄ってきてしまい、
何かあったってアドレスが書いてある名刺を何枚も貰ってしまった。
鳥肌が止まない。
葦木場さんに触れても鳥肌は立たなかったのに…と思うとやはり彼女は同族なんだ、と思った。
また、きっと彼女に出逢うと俺は思う。
それが俺らの【運命】だから。
・
最初のコメントを投稿しよう!