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「先輩。
お久しぶりです」
宮原が仕事の打ち合わせのため都内某テレビ局の廊下を会議室に向けて歩いていると講がする。
背中からだ。
ついで走り寄る足音が聞こえ、
「おお、
きみか!」
背後を振り返りつつ宮原が言う。
相手が神崎雄二だとわかったからだ。
神崎は宮原と会社は違うが似たような題材を手がける下請け映像プロダクション勤務の若者で宮原と同じW大学の出身者だ。
もっとも大学にいた時期がずれていたので二人に学内での面識はない。
知り合ったのは同じ報道番組の別プログラムをそれぞれの所属会社が受注したからで宮原が担当した番組の最後の仕上げと神崎が所属するチームの最初の打ち合わせが番組プロデューサーの都合で一部重なるという偶然によってもたらされた。
それは滅多に起こらない出来事だったため、
それぞれ約十名から構成される二チームは相手チームを意識せざるを得なかったというわけだ。
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