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「まいさん!」
聞き慣れた、大好きな声が数メートル先から自分の名前を呼ぶ。
すぐに誰の声かわかって、聞いた瞬間に麻衣子の胸が高鳴った。
高校を卒業して3年が経った。
お互い大学生活を満喫しているが、こうしてデートも欠かさない。
バイトもするようになって、自分の欲しいものを買って、デートの日にはそれを身につける。
静流も高校の時より遥かにファッションセンスが磨かれて、麻衣子のコーディネートもたまにするくらいだった。
本人はそれが楽しいようで、麻衣子もコーディネートされるのが好きで静流と出かけると洋服ばかりを見ていることに最近気づいた。
「静流!」
呼ばれたことに麻衣子も反射的に名前を呼んだ。
数メートル先にいる静流が笑顔で、早くそばに行きたいというのが待ちきれないように、横断歩道で左右確認すると駆け足で麻衣子の元へ駆け寄った。
「走らなくても会えるのに」
苦笑まじりに、だけど内心は嬉しくて、恥ずかしさを隠すためにそんな言葉が先に出てしまった。
「早くそばに行きたくて。でも、まいさんも会いたかったでしょ?」
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