氷雨

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「受かった……」 横山麻衣子はリビングのPCデスクに座り、高校受験合否発表画面を開いていた。 自分の受験票を手元に、記載されている受験番号を見事探し当て、自分が合格した事実を今し方知ったところだった。 番号を見つけた瞬間、"解放" "終わった"の2つが浮かんで、全身から力が抜けた。 「あー終わったぁ!」 椅子の背もたれに体を預けた。 誰もいないリビングに響いた。 しばらく放心状態だったが、現実に戻ってきた麻衣子は携帯で母と姉に合格したことの報告をメールした。 「よし……。ケーキ買いに行こうかな。」 我慢していたから食べたい。 とは言え、外はあいにくの雨。 寒い上に、雨とは。合格した日に相応しくない天候だ。けれど、せっかく受かったのだから、食べたい気持ちの方が強かった。
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