第1章

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機関は停止、全てのセキュリティーは破壊され開放された場所とロックがかかった箇所が混在。電磁波によって脳震盪を起こした者、鼓膜が破れた者、体調不良で倒れた人間が多数いる事など。さすがにユージは場慣れしていて焦りも動揺もしていない。 『この携帯電話をソーヤ捜査官に渡します。支局長はそれで全体の指揮を執ってください。俺はこのままカミングス一派を追います。自爆をした以上、奴らは本格的に逃げる気だ。俺はそっちに専念します』 「分かった。そのようにしよう。しかし……」 『方法はこっちでやります。2分後に連絡下さい』  そして、電話は一度切れた。  一方、クラウディア号のユージ。  少し走る速度を遅め、送られてきた被害情報に目を通すユージと、ユージの肩の上でそれを一緒に見るJOLJU。  EMP爆弾の効果は知っているし、先の爆発が電磁波パルス爆発だったことはJOLJUが先に教えてくれた。被害は大きいが、それは運営側も同様だ。これはカミングス一派だけが逃げる、ただそれだけのために行った証拠隠滅行為にすぎない。  一通り目を通し、ユージはJOLJUを掴んだ。 「JO?」 「よし。お前、この携帯を持ってソーヤ捜査官のところに行け。テレポートなら一瞬だ」  そういうと携帯電話をJOLJUに持たせる。テレポートするのはJOLJUだけでユージはこのままカミングス一派逮捕に向かう。JOLJUは少しだけ首を傾げた。 「オイラ姿見えたらまずいんじゃないの?」 「上手くやれ! <非認識化>したまま俺の音声を使うなり、ホログラムで化けるなりなんなりと工夫しろ! お前の良識範囲内の方法でいくらでもできる」 「むぅ…… 簡単に言うJO」 「今は指揮する人間が必要だ! 俺は行けんのだから他に手はないだろう」  ユージはもうテレポートに耐えられないし、ユージにとっては全体の混乱を収束させるよりエダのほうが心配だ。カミングスたちの逃走ルートと自分が進むべきルートは頭に入れた。船の制圧は誰かが指揮を執らねばならず、この場合特例で本事件のみグレードがあがったユージより、すでに政府高官であるコールのほうが最適だ。 「むぅ」 ユージの携帯電話に備わっている生体セキュリティーを解除し、普通の携帯電話にできるのは製作者のJOLJUしかいない。今、通信可能な回線がこれしかないのだから、他に手段はない。 「しょーがないJO」
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