第1章

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とJOLJUもユージの判断の正しさを認めた。渡すだけならば別にJOLJU自身が捜査に手を貸しているわけではないからJOLJUのマイ・ルールにも抵触しないだろう。多分…… 「でもオイラなしでユージは大丈夫かだJO?」 「馬鹿か。俺はいつもお前なしに仕事している。くだらん心配はするな!」  ……いや、今回はメチャクチャオイラを利用してるJO……  とJOLJUは口にしかけたが寸前で飲み込んだ。言えば拳骨が飛んでくる。ユージの拳骨は痛い。  JOLJUは了解し、ユージの肩の上で携帯電話を受け取り飛び降りる。  そしてテレポートしようとした直前、走り去っていくユージが前言を見事に翻す。 「ちゃんと俺の動きは把握しておけよ! 俺が呼んだらすぐに来い! 分かったな!!」 「…………」  JOLJUが反論する間もなく、ユージはそう言い捨て、走り去っていった。  数秒間…… 「理不尽だJO」「ユージはサクラ並に自己中だJO」と独りで呟いた後、JOLJUの姿はその場から消えた。 紫ノ上島 煉獄 午前11時18分  拓はゆっくりとHK G36Cを下ろした。  目の前には二人の射殺体が転がっている。二人共、拓が奇襲し仕留めたテロリストだ。一人だけは負傷させられたものの獲り逃がし、西の森のほうに逃げられてしまった。 「殺さず逮捕したかったけど」  倒した二人の生死を確認しようと思ったが、その必要もなかった。一人は頭を撃ちぬきさらに胸2発、もう一人には喉の他胴体に4発撃ち込んだ。ついさっきまでもがき、拓が駆け寄ったが目前で崩れ、事切れた。  二人共ロシア人のようだ。フル装備に最新通信機、防弾ベスト、自動小銃…… そしてガイガーカウンターを持っていた。核兵器対策装備をしている。……これといってプラスになるような情報はない。  その時だった。  西の森から激しい銃声が聞こえ、拓は振り向き銃を構えた。  フルオートの激しい応酬だ。激しい銃撃戦はまだ続いている。  ……1対1じゃない。複数の人間が撃っているぞ……さっき逃がした奴か……?  自動小銃、ショットガン、SMG…… 誰か一人を複数が囲んでいるのが銃声だけで分かった。発砲の間隔から考えてプロだ。  拓は<煉獄>の奥の地下通路……セーフ・エリア6の方向を見た。確かサクラたちがそこにいると聞いていたが出てくる気配はない。
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