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宮本の部屋の明かりが点いたのを確認してから、玄関の呼び鈴を押した。室内から電子音のチャイムが聞こえた。
「どなたでしょうか」との返事があった。
「雑誌社の但馬といいます。宮本 八重さんを探しています。ここに、いらっしゃいませんか」
「ここには、宮本なんていう人はいません」と、断定的な声が返ってきた。
「ここに入っていくのを見かけたのですが」
「そんなことをいわれても、知らないものは知らないとしか答えようがありません」といって、インターホンを切られた。
私はドアチャームを再度押した。だが、部屋の中から電子音が聞こえなかった。電源を切られたようだ。仕方がないので、ドアをノックしたが、返答はなかった。鋼鉄製のドアをいくら強く叩いても手が痛くなるばかりだった。最終的には、携帯電話に電話した。部屋の中から電子音が聞こえてきた。
「宮本です」という声が聞こえてきた。
「但馬です。玄関を開けてください」と、お願いしたら、玄関まで走ってくる足音がしてドアが開いた。
「但馬さん。どうやって、携帯の電話番号を調べたのですか。個人情報を盗むのは犯罪です。警察を呼びますよ」と、怒った。迫力があったが、
「警察は呼んであります」といって、警官を前に押し出した。
「彼女が、宮本さんです。拉致された被害者です。犯人は中にいます。犯人を捕まえてください」という。
「ウソツキ」と、宮本は怒り、警官に向って、
「私は拉致なんてされていません。もう十年、ここに住んでいます」
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