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「十歳以上年上の女性には興奮しないでしょう」と笑う。宮本は部屋着に着替え、ウィスキーのせいでほんのり桜色に火照った肌で妖艶な雰囲気を漂わせている。ハーフパンツのパジャマの下に伸びる太腿が色っぽかった。
「誘ってますよね」といって、体を寄せていったら、
「誘ってなんかいません。あなたのことなど男と思っていません。しいていえば、あなたは犬です。私の周りをかぎまわる犬です」と、言い放った。
「ベッドルームに連れ込んで、ベッドに押し倒したら、どうします?」
「警察を呼びます。それぐらいの準備はしてあります」
「そうだと思っていました。私も天皇陛下の愛人に手を出すぐらいなら、死んだ方がましです」
それから、過去の話をしながら、ウィスキーを飲み、ボトルを開けた。宮本に気持ち良く飲ませるために、何度もお美しいといったが宮本は全く乱れなかった。
「但馬君、車で来たのに、そんなに飲んで大丈夫なの」
「最悪、どこでもいいから、泊めてください」
「犬なら、玄関でいいよね。でも、思ったより弱いのね」と笑われた。少し笑い上戸なのかもしれない。ケラケラと笑い声が響く。
「宮本さん。色っぽいですよ」
「但馬君は、皇太子をどうするつもり」と、聞いてきた。
「私が取材します。八重さんは聞かれたことだけに答えてください」
「あなたが、何も聞いてこないから聞いたの。だいたい、この部屋の中では私がルールを決めます。あなたは、何をたくらんでいるの。白状しなさい」
宮本が皇太子の母親だと思った。直感だが、母のように子供の敵を排除しようとしている。答え次第では、殺されるかもしれないと思った。
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