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「あなたのことなど、信じられません」
「記事を書くために聞いているのではありません。純粋に好奇心から聞いているのです。記事にしませんから、教えてください」と、真面目にいった。
「記者なんて信じられる訳ないじゃないですか」
「神に誓って」といって、宣誓する仕草をしたら、ゲラゲラと笑われた。笑い上戸なのだろうか。よくわからない女だ。
「いつも、そういう手を使うの」
「これはテクニックではありません。教えて欲しいと真面目にお願いしているんです」といって、性器への愛撫をジラせるように雰囲気を出していく。
「本気で頼んでいるのなら、触れてくるのはやめなさい」
「危害を加えるものではありません。優しくしています。そんなことより、真実を教えてください。知る権利は憲法で保障されています。なぜ、隠すのですか。皇太子の素性を隠す意味がわからない」
宮本は但馬の目を見つめ、
「何が望み?」
「事実を!」
しばらく考え込んだ後、
「事実ですか。いいわ。でも、書かないでくださいね」
「私はペンが遅い記者です。信用してください」
「いいわ。信じられるわけないけど、信じてあげる。
私が勤務を始めた二十数年前、アキヒトは四十歳でした。その頃は一緒に政務をこなしてくれる皇后を真剣に探していました。でも、皇后になろうとする女性は現れませんでした。皇后に自由などありません。そんな不自由な身分になりたいと思う女性はいません。自分の娘を皇室にいれたいと思う両親もいませんでした。いい線まで話が進むことはありましたが、バッシングがひどくてみな逃げ出しました。二人の皇后候補は、そのバッシングの中で自殺しました。
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