最後の天皇と記者とのやり取り

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「奴隷はないでしょう」というヤジが飛んだ。記者会見でヤジが飛ぶのはありえない話だった。 「君たちは、勘違いしている。 天皇は、国民の奴隷です。 自由を全く与えられず、休暇すら自由に取れない奴隷です。 酒が体に害があるという理由で飲めないのは諦めていますが、 コーヒーが体に悪いという学説が出ただけで、コーヒーが飲めなくなったのは悲しかった。 牛肉が体に悪いといわれると、牛肉が食卓から消えました。 天皇には、食事の楽しみすらないのです。 フグを食べれられないのは、毒が心配だといわれれば、諦めるしかありませんが、 マッタケまで毒が心配だといわれて、一度も食べたことがありません。 私には、知らない味覚がたくさんあります。 文句をいわずに出された食事を食べるという意味では、私は奴隷や囚人と同じです。 私の夢は、ポッキーを食べることでした。チョコレートがついた菓子です。 でも、諦めていました。 皇太子ができたというので、ようやく許されて食べました。 君たちには信じられないでしょうが、私は号泣しながらポッキーを食べました。 私の人生は囚人だったと思います。ようやく、懲役から解放されます。 そんな不自由な奴隷になりたがる人間などいません」
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