最後の天皇と記者とのやり取り

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 私は、自分でも不思議だが女性にはモテる。そんな顔がいいわけではないので、貧しい生い立ちに同情されているのだと思う。女性の方から近づいてきて、セックスする仲になる。私に結婚願望はないので、結婚しようといったことはない。結婚でつなぎ止める代わりにセックスで繋ぎとめている。  結婚という既成の枠組みに組み込まれるのは真っ平だ。私は革命家だ。革命家が既成の枠組みに組み込まれるのは真っ平だ。それぐらいだったら、戦死した方がいい。ただ、コミュニストでもテロリストでもない。過激なことをする意思はない。過激なことは、過激だという理由で多くの人の反発を受ける。「穏健な革命家」を自認している。無論、自己矛盾しているのはよく承知しているが、目立ったことをする気はない。怖いわけではない。ただ、目立てば、排除される。大きな力を加えて世の中を変えるのではなく、小さな力を掛けつづけて、少しずつ曲げていくことを考えている。私は、天皇制を打倒する革命戦士だ。天皇が日本を実質的に統治していた頃や、第二次世界大戦の頃は、遠い昔だ。私の天皇制打倒の戦略は単純だ。アキヒトを独身のままで天寿を全うさせることだ。アキヒトが独身のまま死ねば、天皇制は滅びる。現状維持をすることが、革命を起こすと考えている。  天皇家といわれているが、天皇家にはアキヒト一人しかいない。この状態さえ維持していけば天皇制を打倒できると考えていたのに、どうやって皇太子を作ったんだ。私の戦略はどこで破綻したのだろう。  皇太子は、結婚して生まれた子供にだけ認められる。アキヒトは結婚していない筈だから、皇太子が出来る筈がない。
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