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「戦時下でも、新しい年が来るのって何だかわくわくしますよね」
「……そうでしょうか。
何かあるわけでもあるまいし……むしろ面倒だし」
-新年番外編-
先程新年の挨拶を終えたばかりの、第三後方支援艦隊旗艦の艦長&副長コンビ。
新年……といっても、冬ではなく真夏なため、二人とも白の第二種軍服姿である。
朝6時には思いっきり青空が広がっているような時期だが、それでも新年。
「……なんだか不思議な感じがしますよね」
ヤマトが外を見ながらフッとため息をつく。
「まあ、慣れるものではありませんね。
子供の頃の感覚はずっと残るものみたいで」
北半球出身で、それなりに長い間そこで育った二人からしてみれば「新年=冬」というイメージが強い。
が、ここは南半球。
夏真っ盛りだったりする。
「そうですね……」
ヤマトが静かに目を閉じる。
「私の育った場所は、海が凄く近くって……年が変わる時期になると空が灰色になって、なんだか寂しい雰囲気でした。
雪とか降ってましたね」
どうやら、珍しく故郷のことを思い出しているらしかった。
ヤマトが自分の故郷の話をするのも珍しく、エフィーは少々心配するような目を向ける。
暑さでやられたんじゃないか、といった心配を。
そんな心配など露知らず、ヤマトがエフィーに話をふる。
「副長の故郷はどんな感じでした?」
「……夜が長くて、少しだけ陽が昇ってましたね……。
そ、そんなこと、どうでもいいでしょう。
ほら……、さっさと行きますよ」
エフィーはヤマトに背を向けると、先に艦橋を出ていく。
ヤマトは少しだけ微笑むと、その後に続いた。
今日、船員の2分の1は休日になっている。
そのためいつもは騒がしい船内がかなり静かだ。
しかしながら2分の1は通常通りの業務を行っている。
そんな船員にヤマトとエフィーは声をかけて回ることにしていた。
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