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一方そのころ。
士官室の一角。
「あっれ、水雷長……航海長は?」
トランプに興じていた水雷長、ユーグが顔をあげる。
と、そこには眠そうな軍医長。
半分寝ているような顔をしているくせに、いつもはユーグの側にいる(ユーグが追いかけ回しているいると言ってもいい)航海長のマリノがいないことに気付いたらしい。
「……寝てるよ。
お前らと遊んでる暇があるなら俺は寝るだってさ」
不服そうにユーグがため息をつく。
と、内務長が苦笑いしながら席を1つ空ける。
「仕方ないよ。
出撃中はほとんど寝てないんだから。
休みの日くらいゆっくり寝かせてあげないと、さ」
「死んじゃうよね、休みの日くらい寝かせてあげないと。
それもわかってあげないで、休みの日でもベタベタくっついてる人もいるけどさ」
「おい、なんで俺の顔見ながらいってんだよ」
「べっつにー?」
軍医長は含みのある笑みを浮かべながら、椅子に座る。
「ああ、あと……航海長の場合あれでしょ?
今晩はちゃんと起きてなきゃいけないから……」
砲術長のユールが思い出したように付け足す。
一瞬、内務長が"今晩?"と首を傾げるも、すぐに合点いったような顔をする。
その今晩という単語に、軍医長と主計長は嫌そうな顔をした。
「……あのさぁ、羽目外さないでよ。
俺に余計な仕事増やさないでよ!!」
軍医長がユーグにつっかかる。
「そりゃ無理な話だ。
こういう時じゃないと馬鹿騒ぎできないわけだし」
「あれ、水雷長はいつも馬鹿騒ぎしてませんっけ?
ああ……違いましたね、馬鹿なだけでしたね」
「ユール……お前なぁ」
主計長は深いため息をついた。
「先に言っておきますが、私にお酒の強要はしないで下さいね」
「そういうこと言われると、したくな」
「貴方の来月の給料減らしておきます」
「すいませんでした」
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