2016年 謹賀新年

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一方そのころ。 士官室の一角。 「あっれ、水雷長……航海長は?」 トランプに興じていた水雷長、ユーグが顔をあげる。 と、そこには眠そうな軍医長。 半分寝ているような顔をしているくせに、いつもはユーグの側にいる(ユーグが追いかけ回しているいると言ってもいい)航海長のマリノがいないことに気付いたらしい。 「……寝てるよ。 お前らと遊んでる暇があるなら俺は寝るだってさ」 不服そうにユーグがため息をつく。 と、内務長が苦笑いしながら席を1つ空ける。 「仕方ないよ。 出撃中はほとんど寝てないんだから。 休みの日くらいゆっくり寝かせてあげないと、さ」 「死んじゃうよね、休みの日くらい寝かせてあげないと。 それもわかってあげないで、休みの日でもベタベタくっついてる人もいるけどさ」 「おい、なんで俺の顔見ながらいってんだよ」 「べっつにー?」 軍医長は含みのある笑みを浮かべながら、椅子に座る。 「ああ、あと……航海長の場合あれでしょ? 今晩はちゃんと起きてなきゃいけないから……」 砲術長のユールが思い出したように付け足す。 一瞬、内務長が"今晩?"と首を傾げるも、すぐに合点いったような顔をする。 その今晩という単語に、軍医長と主計長は嫌そうな顔をした。 「……あのさぁ、羽目外さないでよ。 俺に余計な仕事増やさないでよ!!」 軍医長がユーグにつっかかる。 「そりゃ無理な話だ。 こういう時じゃないと馬鹿騒ぎできないわけだし」 「あれ、水雷長はいつも馬鹿騒ぎしてませんっけ? ああ……違いましたね、馬鹿なだけでしたね」 「ユール……お前なぁ」 主計長は深いため息をついた。 「先に言っておきますが、私にお酒の強要はしないで下さいね」 「そういうこと言われると、したくな」 「貴方の来月の給料減らしておきます」 「すいませんでした」
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