俺が魔王になるまでを語る

3/39
881人が本棚に入れています
本棚に追加
/476ページ
しかし、今は違う。俺はまさに魑魅魍魎(ちみもうりょう)渦巻く異世界に来ているのだ。 目の前の草原をスライムが滑っていき、空をサーペントやキメラが群れを成して飛んでいく。 日も暮れかかっていたので俺は近くに街がないかさまよった。 途中ゴブリンに絡まれた。大きなこん棒を片手に俺の前に立ちはだかる。 マジかよ…。 俺は武器も防具も持っていない。 ゴブリンも防具は身に着けていないとはいえ太い体にむっきむきの筋肉を纏っている。 ほっそほその俺とは訳が違う。 それに口から自慢げに「見ろよ」 と言わんげに突き出た太い牙。 あんなものに噛みつかれたらひとたまりもない。骨ごとやられてしまう。 ゴブリンは俺がびびっているのを見透かしたようにデモンストレーションを始めた。 側に転がっていたドラム缶ほどの岩をこん棒でいとも簡単に割ってみせると、砕いた岩の破片をこれまた自慢の牙で粉々にしてみせた。
/476ページ

最初のコメントを投稿しよう!