何故出会ったのだろう…

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彼は休みらしい休みが無い人なのでこの日は朝起きて《朝からビール》を有言実行していた 帰りは私の運転となった お土産を買う店を探している時、彼が私に聞いてきた 『慧はアナルは経験あるのか?』 と…… 突然の質問に驚きながらも 『ぇぇまぁ……』 と答えた私に 『何でもいいから慧にとって初めてって事がしたいんだよな…』 と言った これもある意味負けず嫌いの彼の欲だったのかもしれない 途中で彼に電話が入った 電話の内容から誰からの電話かと察しがついた 以前食事をしていた時に入った電話の相手だった 『何があっても、こちらからは絶対に手を出すな。歯を食い縛って堪えろ』 と言って電話を切った彼は 『今俺が出る幕じゃない』 と言っていたのに、まだ残っていた食事を掻き込み、私に行き先を告げ、友達の元へ駆け付けたのだった が、その時すでに話が終わっていたらしく、彼は友達が待っている場所へと私に指示をして 『連絡するまで何処かで時間潰して来て』 と言い残し車を降りた その間二時間程……… ファミレス等入った事の無い私には二時間は長かった 私はいつも用事のある時でも必ずメールを入れてから彼からの返事を待つと言う形をとっていた その時も本来なら電話をしたい程嫌になっていたけれど、雰囲気を考えたらやはりメールを入れる事にした 『もう帰ってもいい?』 私の精一杯の言葉だった 『いつまで待たせるの?いい加減にしてよ』 心の何処かには叫びたい気持ちもあったけれど、私もそこまで馬鹿ではない そのメールで彼から電話が入り 『迎えに来て』 と一言 車に乗った彼は言い訳するかの様に 『話を聞いていたら思いの外時間喰った。待たせて悪かったな。』 と…… が、私はその言葉で機嫌が直る程の器を持ち合わせていなかった 顔は明らかに不機嫌であり機嫌をとってくれていても簡単には切り替えが出来なかった そんな私に彼は 『俺が忙しいのは慧も分かっているよな?何かを優先させるには必ず何かが犠牲になっているんだよ。いつもは慧を優先させているけど、こう言う時もあるし、俺の意志とは関係無くいざこざに巻き込まれる事もある。今夜の埋め合わせは必ずするから』 と言った その時気付いた そう。彼の時間を私が独り占めしていると言う事は犠牲の上に成り立っていたのだ
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