242人が本棚に入れています
本棚に追加
/580ページ
所々彼と言う人間に触れてきた
今は堅気の彼だけれど若い頃は………
彼の口からはっきりとした事を聞いたのは、付き合いだして三ヶ月程してからだった
それまでに何度となく
『本当の俺を知ったら、お前は俺から離れて行く……』
と言っていた彼
なんとなく察しがついた出来事があった
三月に一泊で旅行に行く計画を立てていたのだが、彼から中止の連絡が入ったのだ
『急に金が必要になった。まとまった金を作らなきゃいけないんだよ。』
と、足りない分は自分の車を売ってまで金を作ったのだった
《保釈金》
私には縁のない言葉だったがその説明から彼が何らかの組織と繋がりがあるのを悟った
それまでも何度か
『友達から聞いた話だけど』
と、話の最後に付け足すかの様にして話をしてくれていた内容からもなんとなく察しがついていたが
《保釈金》
の話で決定的なモノとなった
が、今は堅気となり何故組織から離れたのかも話せる範囲の中で話してくれた
『俺から離れたくなっただろ?』
と言う言葉に、私は首を横に振った
私もそんなに柔な生き方をしてきていた訳では無かったからかもしれない
最初のコメントを投稿しよう!