242人が本棚に入れています
本棚に追加
/580ページ
私が彼に惚れた理由の一つに
『俺は受けた恩は絶対に忘れない。例え相手が忘れていたとしても』
と言うところ
歳の割りには昔気質の考えが、どこか父に似ているからかもしれない
今の時代の中で、口では何とでも言っておきながら、受けた恩を平気で忘れ仇で返すくらいの人もいる中で、彼が生きてきた世界の恩義と言うモノの価値を彼は肌で感じていたのだろう
もう一つ………
彼は先祖を大切にする
命日は当然の事、お彼岸にも必ずお墓参りに行く
そう、彼と初めて逢った日、彼が行きたかった場所はお墓だった
生後三日で亡くなったと言う彼の双子の兄弟の命日だったのだ
見た目はとてもそんな事を重んじる様には見えない彼が、先祖を大事にするのは当たり前だと言うところも私の大切にしている事の一つと重なっていた
彼には仲間が沢山いる
本当の意味での仲間は当然限られるが……
が、彼は孤独だと、私はいつも感じていた
どこが?と聞かれても答える事は出来ないが私の心がそう感じた
だから私が勝手に彼を一人には出来ないでいるのだ
彼は一人でも生きていかれると言った
そうだと思う
が、私が彼を一人には出来ない……………
最初のコメントを投稿しよう!