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冬が終わり
春が訪れたある日の夜の事だった
充てもなく車を走らせていた時の何気ない会話が私の心を凍らせた
『俺はお前と付き合っている訳じゃない
お前と居ると楽しいから一緒に居る
言葉は悪いがお前は都合が良い
俺は酒飲んでもお前は飲まないから足の心配もないし一番は遊べる時間帯が合う事かな
それに俺はお前に見栄を張らずに済むから』
と…
私も自分の立場は弁えているつもりではいた
でも
結局は私にそこそこお金があったからだが
そう言う意味では今までの彼の人生で唯一見栄を張らずに済む相手に過ぎないからだと言う事だったのか………
私にお金が無かったら
今の関係は成り立たないと言われた様なモノだった
取って付けた様に
『勿論好きだから一緒に居るんだよ』
と言われた
その頃には私は年齢も結婚していると言う事もすべて彼に話していた
彼にカミングアウトした時に彼は私に
『それで慧はどうしたい?』
と聞いた
私は
『武がヤだくなかったら私は武と一緒に居たい』
と答えた
彼は私の気持ちを受け入れてくれたんだと
勝手に解釈していたから
あの言葉に凍り付いてしまったんだ……
彼が悪い訳ではなかったが……
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