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一.そして事件が明らかになる
まだ春の余韻が残る七月の初め、朝一の講義が終わり、いつもの様に構内にある喫茶店へと向かった。
構内の南側にある会議室などに併設したその喫茶店は、一面ガラス張りの窓から慌ただしく走り抜ける自転車の流れを眺めることが出来る。
人の流れを横目に、喫茶店の中ではゆったりした時間が流れている。
店に入ると、窓から離れた奥の四人がけのいすに、篤人が座っていた。
篤人は札幌にあるH大学工学部四回生。
既に単位もほぼ取り終え、主に卒業研究しか残していない篤人は、研究室で過ごせば良いもののなぜかこの喫茶店でほとんどの時間を過ごしている。
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