一.そして事件が明らかになる

3/8
前へ
/26ページ
次へ
私は二人が気づく様に目の前の席に荷物をどかっと置き、軽く挨拶を交わしてから座る。 「あ、やっと来たぁ」 佳子が私に声をかける。 「おはよう」 私は挨拶を返すと、コーヒーを頼んで二人を眺める。 篤人は目の前のノートPCから目を外すこともせずに、手に持っていたコーヒーカップを少しこちらに差し出した。挨拶のつもりなのだろう。 佳子はすぐに私に話しかけてきた。 「遅いよぉ。もう、篤人は話訊いてくれないから、暇だったんだから」 ならなぜここに来るのだろうか? 疑問に思いつつも、私は至極真っ当に答える。 「しょうがないだろ、授業受けないと単位を取れないんだから」 佳子は私に話しかけつつも、耳からイヤホンを外していない。 音楽を聴いているのだろうけど、そういえば佳子や篤人と音楽の話しはしたことが無いな。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加