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奈良公園を散策してその日は旅館に向かった。
外国人の観光客も多く、鹿せんべいを持ってることでミニスカートまで鹿にムシャムシャされている若い女性がいた…
小百合はそれを見て大騒ぎしてたっけ。
「かなり歩いたね、疲れたでしょ」
「楽しかったよ」
「森林浴もできたし」
「それなら良かった」
旅館での夕食は、可愛い小鉢がいくつもあって、色彩豊かでお肉や刺身もあった。
「お腹いっぱーい」
「美味しかったね」
「ゆいは何が好きだった?」
好きなものかぁ…
種類が多かったから少し考えた。
「お塩だけで食べた焼き肉かな」
「一緒!」
うれしそうな表情…
こんなにも小百合が元気になってくれて本当に良かった。
以前のような関係ではないけど
こうやって一緒に居られるだけでも感謝しないとね…
「お風呂先に入ってきてね」
一緒に入ってたんだよ…
「ありがとう」
「少し消化させてから入ってもいい?」
「あ、ごめんね」
「ゆい、よかったら先に入ってね」
何だか焦ってるよね…
二人だけの夜。
きっと何も起こらないのはわかってるけど…
窓から見える三日月が物悲しく思えた。
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