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健司はじめ、武闘派の揃った小林組はすぐに頭角を現し、2年後には禿鷹会いちの実力を持った組織となる。
「なぁ、健介。風呂でもいかねぇか?」
「風呂ですか!?今や親分は禿鷹会の最重要人物。そんな危ないところになんてお連れできませんや」
「なにを言っている。健介、お前がいれば大丈夫だろ」
健司たちの活躍の影には当然、反発する輩も多数でてくる。
そんな輩につけ狙われる幸太は、いくどとなく健介に命を助けられてきた。
「いや、でも…」
「なんだ、自信がないのか?」
「いえ、決してそんな」
「じゃぁ、いいじゃねぇか。たまには二人でゆっくりしようや」
「…はい。でも、用心してくださいよ」
「大丈夫だ。お前がいることが最大の用心だよ」
「はは。まぁ、違いないですね」
都内の銭湯。
「わりぃな、じいさん。今日は貸切だ」
入り口の前にはスーツに身を包んだ若衆が立ちふさがる。
「これで他の風呂にでもいってくれや」
湯につかりに来た老人に、1万円を握らせる。
「あ、ありがとうございます…」
「また来てな~」
湯船。
「なぁ、健介。兄貴の事どう思う?」
「え?兄貴って、健司兄ぃの事ですか?」
「ああ」
「そりゃ、兄ぃはすごいですよ。尊敬してます」
「俺よりもか?」
「よしてくださいよ。俺の一番は親分です。兄ぃはまぁ、その次ですね」
「はは。気を遣わなくていい。血の繋がりとは比べられんわな。悪かった」
「どうしたんですか?」
「いや、なんでもない…」
((最近の健司は少し行き過ぎる…))
健司とともに、武闘派として片翼を務めていた幼馴染のヤスは、敵対勢力からの襲撃を受け、命を落としていた。
「兄ぃを心配してくださってるんですか?」
「まぁ、な」
「大丈夫ですよ。兄ぃは計算高い人だ。ヘマする人じゃねぇ」
「そうだな」
「親分はやさしいですね」
「ふん。…お前の兄貴もな」
「え?」
「なんで健司はお前をシノギに使わず、俺のそばに置いているのか。しってるか?」
「そりゃ、俺が強いからでしょう。親分のボディーガードは俺じゃなくっちゃ」
「まぁ、それもあるけどな」
「他になにがあるんですか?」
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