1.最低最悪の人生。

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【公園】 幸太、中学生―。 停めた原付に腰を掛ける幸太。 近くには中型のバイクが並ぶ。 公園の中央では高校生たちが大勢たむろしている。 「おい、幸太。タバコ買ってこいよ」 「はい。あのお金は?」 「わりぃ、今ねーんだわ。頼めるかな」 「はい。大丈夫です」 「いつもわりぃね~」 【高校・屋上】 「ねえ、パイセン!ジュース買ってきてよ」 ソファに座った高校生がコンビニ弁当を食べる幸太に言葉を投げる。 幸太、高校3年生。 「おい、幸太さん、族やってんだろ?しかも飯中じゃん。大丈夫かよ…」 「大丈夫だよ。だってパイセン弱えーもん。お前も見ただろ?こないだの俺とのタイマン。ぼっこぼこだったじゃん」 「でもよ…」 「ねぇ、パイセン。いいよね?」 「ああ、かまわねーよ。何がいい?」 笑顔を作る幸太。 「はっは。お前のセンスに任せるわ」 「オッケー」 「ふん。ヘラヘラしやがって気持ちわりーな。早く行けよ、パイセン」 【ヤクザ事務所】 ((そして、高校を卒業し、なんとかなれたのがヤクザの構成員…)) 「幸太ぁ。お前、歳はいくつだ?」 坊主頭に色つき眼鏡。 幸太が所属する暴力団『禿鷹会』の幹部、西山剛。 幸太は西山の子分格である。 「25です」 「よっしゃ、お前に大事な仕事をくれてやる」 「は…はい」 西山が幸太の足元に紙袋を放り投げる。 「チャカだ。これで熊虎組の中山のタマとってこい」 「え?」 「え、じゃねーよ。中山のタマぁとってこいっちゅーたんじゃ」 「あの…」 「はよ行かんかい」
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