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一度連れていかれた
熱が残っている限り、
私はいくらでも
この人のオモチャに
なってしまう。
……だって、
触れているだけで
気持ちいい人なんて、
どれだけいるっていうの。
乱れた呼吸を
待ってくれたのか、
桃さまはそれ以上
私を苛むのをやめた。
離れた彼の指先ぶんの
空洞がやたら虚しいなんて、
私のどこが
そう感じているのだろう。
「女に死なれた話は、
しましたね」
「……?
え、ええ……」
私の真ん中に
私が戻ってきたのを確認し、
桃さまは小さく頷いた。
「あれから、
女性が怖くてたまりません」
「……」
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