生はまこと偽物(いかもの)に尽きる

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  これは、と 思わず息を呑む。 うすうす わかっていたけれど、 桃さまはやっぱり 特殊なひとだ。 「あなた相手に 真剣になってしまえば、 本気で理性が飛びそうで」 「だ、だからって なんでこんな……っ、 あ」 加減は男の人のほうで するものではないのか……と 訴えようとした瞬間、 さっきまで 攻められていた箇所を 遠慮なくなぞられる。 もったりとしたその場所に 触れられた返しをくらい、 かっと羞恥に 火が点いた。 「あなたが いやだと言っても、 聞けないかも知れなくて」 「ちょ……っ、 そん、な……」 同意でのことなら、 相手を不快にしないことは 条件として当たり前に 入っているはずで。 犯罪でもない行為の最中に 女の小さな訴えを 聞けない大人の男が、 どこにいるんだ。 .
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