生はまこと偽物(いかもの)に尽きる

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  まだ熱の残る 私の確認を済ませるや否や、 桃さまは下着を横にずらし、 そのまま挿入ってくる。 小さく悲鳴を上げた 私の両腕は押さえられ、 好きなように 打ちつけられた。 「……はッ、ぁ……ッ!」 私とて 小娘というわけじゃない。 突然侵入されたくらいで、 一度慣らされたそこが 軋みをあげるはずが なかった。 頭のてっぺんまで 一気に突き抜けた快感が、 瞼の裏で白い火花を散らす。 一度きりの桃さまを しっかり覚えていたことに、 自分の性を感じて 瞳が潤んだ。 そんなことに気付いて 心が揺れるだけで、 もう居たたまれない。 大人っていうのは おかしなもので、 喜びや悲しみ以外にも 盛大に涙腺を決壊させる。 .
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