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頬が、首筋が、
かっと熱を
持ってくるのがわかる。
自分の体が、
他の誰でもない彼に
いいようにされることで
悦んでいるのがわかる。
こんな感覚、
思い出したくなかった。
なさけないほど
だらしない女だって、
見たくもない現実を
突きつけられるから。
違う、違う、
そうじゃない。
私はそんな女じゃない。
私は自分のことを
よくわかっているし、
ちゃんと感情を
コントロールできる。
……そんな人に
なりたいって、
思っていただけだけど。
はらはらとこぼれる涙を
止めるすべが見つからず、
せめてもの気持ちで
指先で彼の膝をなぞった。
「……さん、
瑞島さん、
瑞島、さ……ッ」
揺さぶられて
うまく発することの
できない声で、
必死に彼に訴える。
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