28人が本棚に入れています
本棚に追加
『星の王子様』サン・テグジュペリ
『星の王子様』サン=テグジュペリ
内藤 濯(あろう) 訳
岩波文庫版 2017年新装版 初版発行
図書館から借りてきました。
読もうと思ったきっかけは、
先日、こちらで紹介させていただいた『君の膵臓を食べたい』の作中、ヒロイン桜良(さくら)が主人公の「僕」に『星の王子様』の本を貸してあげるというシーンです。
僕も、あれ?そういえば、いつ読んだのだろう?
小学生の頃?内容は?
みたいになりまして読みたくなったわけです。
《内容と解釈について》
僕の感想としては、人間についての、生きることについての、様々なテーマがメタファーを通じて描かれている高度な童話、という感じです。
哲学的とも言えると思いました。
『君の膵臓を食べたい』の主人公である「僕」は自分以外の人間との関わり合いについて悩み、成長していくのですが、『星の王子様』にもその部分の要素はあるので、なるほどと納得しましたね。
違うテーマもたくさんあると思いますし、解釈も人それぞれですが、僕としては心が打たれる、考えさせられる場面はたくさんありました。
『星の王子様』深いなと。。。笑
《第二次世界大戦との繋がり》
解釈の一つに第二次世界大戦という背景を描いているという解釈があります。僕としては時代背景に影響受けるのは当たり前だと考えています。
多少なりとも。(新解釈扱いされてますが)
簡単に説明すると、作者サン=テグジュペリは飛行士で、二度の世界大戦で空軍として参戦しています。しかも、第一次大戦で入隊したものの1度事故にあって除隊しますが、もう一度、第二次世界大戦で志願して空軍に入隊し参戦します。
(年齢制限30歳をかなり越えていた)
その間に『星の王子様』を発表しています。
作者サン=テグジュペリはフランス人でユダヤ人の友人レオン・ウェルトのために書くわけです。
さて、偶然にも(というか僕が知識不足で知らなかっただけですが)前回紹介をした原田マハさんの『暗幕のゲルニカ』のピカソ場面の時代背景ですが、全く同じです。
ピカソもサン=テグジュペリも、フランスがドイツに無条件降伏したその日、その時間を共有しているわけです。もしかしたら2人とも場所は違ってもフランスにいたと思うと、何だか不思議な思いです。2人とも悔しさや不安の中で、片方は芸術で、もう片方は文学作品で世界に想いを訴えかけたわけです。
そして他のフランス人と同じように、パリに居座ったナチスの軍人の目を盗み、7月14日のフランス革命記念日には、家でひっそりと自由を信じながら親しい人たちと祝杯をあげていたことでしょう。フランスが再び自由になることを祈って。
次ページへつづく
最初のコメントを投稿しよう!