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《翻訳について》
原題『ル・プチ・プランス(小さな王子)』は、
訳者内藤濯氏の創案により『星の王子様』という書名になりました。(日本における翻訳権が2005年に満了した岩波書店は『星の王子様』という名前を使う場合には上のような明示を要望した)
今回紹介している『星の王子様』は、日本で初めて翻訳されたバージョンで、今は数社から新訳が出版されています。
本作品には訳者あとがきが掲載、訳者の娘さんの忘備録も掲載されています。
読み始めてすぐに、正直読みづらい日本語だなと思いました。すぐ慣れましたが。
訳者本人のあとがきで納得したのですが、詩的で美しいフランス語で書かれている原本を表現したかったということです。崩してわかりやすい日本語に直すというような翻訳はしなかったと。
さすがフランス文学者教授だけあります。
ただ僕としては、色々な翻訳バージョンも読んでみたいと思いました。
解釈や表現が違えば、翻訳も変わってきます。
色々な人がいて、色々な考え方、物事の解釈の仕方が違うように。(これって『星の王子様』の中にあるテーマのひとつだと思うのですが。)
《忘備録から》
訳者の娘さんの忘備録に興味深いエピソードが書かれていました。
『星の王子様』と美智子皇太子妃(現、上皇后)との関わり合いです。
訳者の内藤濯は訳本を童話に関心を持っている美智子皇太子妃へ献上したところ、謝辞が届いたそうです。
その手紙には「あまりに美しい物語だったためでしょうか、読み終えて少しさびしくなりました。良い御本を頂いて、本当にうれしゅうございます。」
それを車に乗って女官が文箱に入れて届けてくれたそうですが、その文箱の上に一輪の花が添えられていたとのこと。素敵ですね。
その後、『星の王子様の会』なる集まりを内藤濯は仲間うちで開いていたのですが、そこに美智子皇太子妃はお忍びで参加していたそうです。
みんなでお菓子を食べながら、普通に話をしたり歌を歌ったり。
しかし、それはいつのまにか噂になり、人が集まりすぎて内藤濯は美智子皇太子妃に迷惑がかかることを心配し閉会したということです。
その経緯やその後が忘備録に詳しく書かれています。なかなか読み価値のある内容ですよ。
「読み終えて少しさびしくなりました。」
この御言葉は深いなと。。
《感想のおわりに》
『星の王子様』は読み返したくなる一冊だと思いました。
何かに迷った時、なんだか世の中をイヤになってしまった時、誰かのことを想うとき。
本の中に色々な名言が出てきます。
それは是非、読んだことない人は、
読んで確かめてみてください。
きっと、それは読んだ時に、読んだ人に寄り添った名言が、心に響くことでしょう。
おわり
P.S.
上の写真のとおり、この新装版は2017年7月14日に発行されています。
フランス革命記念日である7月14日にしたことが、発行元の岩波書店が意図したことなら凄いですよね。さすが岩波書店!(それは僕の思い込みであって、夏のボーナスに合わせたただの商業的意図だったりして。笑)
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