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『王国』 中村文則
『王国』 中村文則
2011年初版発行の中村文則さんの単行本『王国』を紹介します。
今回は図書館で借りてきました。
タイトルだけ見て借りてきたので、読後に作者あとがきを読んで知ったのですが、この作品は『掏摸(スリ)』(同作家小説2010年大江健三郎賞受賞作品』の兄妹編の小説だそうです。
どちらから読んでも、どちらだけ読んでも大丈夫なようなので、安心しました。
続編から読んでしまったらショックですよね。笑
内容はかなりミステリーよりな作品だと思います。ただエンタメ小説ではなく純文学に近いミステリー小説というところでしょうか。
ダークな社会のダークな話ですが、思ったほどネバネバしていない。(ただしグロテスクな表現は少ないですが、性描写はあります。)
ページ数も174ページと短く、細かく章に分かれているため読みやすいです。
主人公は女性です。(ちなみに『掏摸』は主人公は男性。この作品の表紙の写真と対になるように男性のバージョンが『掏摸』の表紙です。)
テーマは社会システムについてと、生きることだと僕は感じたのですが、深いなと思いました。
ネタバレになるので、詳しくは書きませんがラストは「へー、こうゆう結末のやり方があるんだ。」と小説テクニック的視点から見ると思いました。意外な展開なのに、深く考えさせられる感じです。
結論を言うと僕は好きな作品ですね。
悲しいけど、なんだか希望があるような何とも言えない読後感。
伊坂幸太郎さんの少しダーク系(殺し屋シリーズ)などに似た雰囲気があるかもしれません。
とにかく僕の中では『掏摸』も読むこと確定しました。本作品の中で、きっとコレは『掏摸』とのつながりあるだろうなという人物や場面は、なんとなくわかっちゃったのですが、確かめずにはいられません!
おわり
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