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『教団X』 中村文則
『教団X(エックス)』 中村文則
『教団X』は中村文則さんが雑誌「すばる」で連載していたものを単行本化したもの。
2014年12月 初版発行。
再び中村文則さんの作品の紹介です。
かなり話題になった『教団X』。
本屋に並んでいた時からかなり気になっていた作品で、僕にとっては中村文則さんを知ったきっかけでもあります。
今回も図書館から借りてきました。
ここでも紹介した中村文則さんの作品の中では新しい方に入るのですが、とても読みやすくなった気がします。成長というと偉そうなので、変化が見られるとお伝えしたいですね。発表された作品の時期によって作家の文章の変化を楽しむのも、また読書の楽しみ方の一つだと僕は思います。
内容はジャンル的にはミステリー調な小説ですね。二転三転さらにドンデン返し、細かな伏線回収と、エンタメ要素もたっぷりあります。
ですから567ページありますが、ストーリー展開が面白いのでスイスイと読むことができました。
テーマ的には中村文則さん本人のあとがきでは「世界と人間を全体から捉えようとしながら、個々の人間の心理の奥の奥まで書こうとする小説」と述べています。
なぜ政府がこのようにするのか?なぜメディアはこう動くのか?なぜ人間は、、、?
第二次世界大戦とは?靖国神社とは?
格差問題の根源は?
幸福とは?生きるとは?宇宙の始まりは?
それらを、かなり深く掘り下げて読者に訴え掛けてきます。
そんなことは知らなかったという読者もいれば、そんなことは陰謀論だと苦笑いする読書もいることでしょう。この作品を読んで書かれていることの詳細を調べたりすると、人生が変わる人もいるかもしれません。
宗教学、化学、物理学、量子力学などなどが、出てきます。それらから人間とは何かが語られる訳です。
僕としては、ここで紹介している他の作品の中にも、(特にSF)それに近いものが多いので特に驚くことはないですが、初めてそうゆう知識に触れる人には良くも悪くもショッキングだと思います。
最近、中村文則さんは日本の政治的なことにも意見を発信するようになりました。(結構前から少しは発信してましたが。)
それは日本の「右傾化」を懸念した発信が多いです。
僕としては『教団X』の内容は、納得しているというか、同感です。よくぞ言ってくれた中村文則さん!という感じです。
この作品の読書会(同じ本を読んで感想を語る集まり)とかあれば参加してみたいですね。
是非、他の人の意見も聞いてみたい。
でも激論になりそうで少し怖いですが。笑
ご興味ある方は読んでみてください。
では、また。
おわり
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