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『アンブラッセ』 阿刀田 高(あとうだ たかし)
今回は阿刀田高さんの短篇集『アンブラッセ』の紹介です。全10篇が収められています。
2015年 初版発行 単行本。
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《阿刀田高さん》
誰もが認める日本文壇のトップクラスの作家。
(実際に日本ペンクラブ会長もしていた)
日本の短篇、ショートショートの名手。
直木賞、吉川英治文学賞、紫綬褒章、旭日中綬章、文化功労者。
現在85歳。執筆活動の他、直木賞などの選考委員。社会的活動(文化庁文化審議会会長など)もおこなっている。詳しくはWikipediaで。
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僕はショートショートで有名な星新一さんが大好きな作家の1人なのですが、雑誌か何かで阿刀田高さんは星新一さんと肩を並べるショートショートの名手だという評判を見て読んでみようと思いました。今回は短篇集ですが。
阿刀田高さんの名前は有名なので以前から知ってはいました。ですが何故か僕には阿刀田高さんは長編の堅い小説を書くイメージがあり、読んでいなかったのです。それで星新一さんと肩を並べるショートショートの名手と知り驚いたわけです。
それなら読んでみようと。
結論から言うと星新一さんの作風とは全然違いました。
考えてみれば当たり前ですよね。
肩を並べる名手だと言っても、作風が同じとは言えませんから。僕の勝手な勘違いでした。
だけど、その勘違いのおかげで、阿刀田高さんの作品を読めたことは超ラッキーです。
予想外に極上の白ワイン飲んだ感じです。
辛口。もちろんブルゴーニュ。
文章・文体はソフトすきず、堅すぎず。
話の内容も濃すぎず薄すぎず、
しかし味わい深い。
オシャレすぎずスマート。
古くも新しくもなく心地よい。
ある作家は西洋文学と日本の文学の違いは、油絵と水墨画だと言っていました。
西洋文学は油絵のように重ねて重ねて深みを出していく。日本文学は水墨画のように、いらないものを削って、削って、その余白を含めて味を出すみたいなことです。
その視点からだと、阿刀田高さんの本作品は水墨画までではないけど、水彩画なのかなと僕は思いました。
こればかりは、実際に読んでもらわないと伝わらないですね。
ちなみにエンタメ小説ではないので、ドンデン返しみたいなものは、ほとんどありません。この短篇集は純文学だと思います。
まだ阿刀田高さんは1作品目なので、他の作品も読んでみたくなりました。
予感ですが、たぶん一生のお付き合いになる作家さんの1人になりそうです。(もちろん作品とのお付き合いです)
おわり
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