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『メビウス』 堂場瞬一
2019年11月 文庫版 初版 479ページ
(2016年に刊行された単行本『メビウス1974』を改題したものです。)
今回は堂場瞬一さんの『メビウス』の紹介です。
堂場瞬一さんは警察小説で活躍する作家。
100冊以上の作品が刊行されています。
速筆で有名。すごいですよね。
もちろん僕も本屋などでたくさん並んでいる堂場瞬一さんの本を見ていますので名前は知っていました。
いつか読もうと思っていまして今回が初読です。
しかし、選んだのは警察小説ではない『メビウス』でした。
内容はと言うと、1974年に起きた過激派の企業爆破事件から40年以上過ぎた現在。
それに関わった主人公とその周りの人たちの物語です。
誰が犯人か?という話の内容ではないですが、ミステリー要素はたくさんあります。
警察も出てきますので、当然警察小説的な部分もあり、そこら辺の内部事情などは詳しく述べられています。さすが警察小説の堂場瞬一さん!
簡単に説明すると、過去に囚われた者たちの話ともいえるでしょう。
主人公の行動や言動に「何なんだよ!」というイラっとする場面があるのですが、よくよく自分に照らし合わせて考えると自分もこうゆうことあるなと胸に突き刺さる感じがあります。
人生は小説のようにはいかないのだという小説ですね。
上に書きましたが、文庫版にあたり改題しています。
『メビウス1974』から『メビウス』へ。
これは若い人にも読んでもらうためのマーケティングでしょう。
正直言って、40歳以下で当時の学生運動などを何となくでもわかっていないと、ピンとこないと思います。あと作家も登場人物として出てきますし、主人公が読書好きな文学少年、いや文学老人なので有名な作家の作品の名前がかなり出てきます。
僕としてはニヤリとするぐらいは嬉しかったです。
ミステリー小説ではなく、純文学として読んだ方がガッカリはしないでしょう。
堂場瞬一さんの作品の中では、たぶん異質な作品な気がします。それは他作品を読んでからですね。
では、また。
おわり
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