第1章

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それでも凛衣が悪態を吐いているのが聞こえてくる。 (あー。もう。もう少し仲良くしてよ、二人とも。) そんな叶わない願いを心の中で唱えていると、ポンと頭に何かが乗った。 その感触に慌てて目を開けてみる。 それは、拓海の手。 私の困惑する様子を見かねたのか、心配そうに顔を覗かせる。 「ほら、お前が突っかかるから。紗和が困ってんだろ。」 「えっ」 驚嘆な声を上げてこちらを向く。 私の困り果てた顔にやっと気づいたのか、凛衣は私の顔を見ると申し訳なさそうに「ごめんね、紗和」と呟いた。
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