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「紗和は今から俺が引き取るんで。」
『っ、』
その意味深な言葉に、今度は別の意味で動揺する。
拓海は凛衣を見つめた。そして、二人の視線が交差する。
数秒。沈黙の時間が流れる。
凛衣は、そんな私たちの様子に怪訝そうな顔をするけれど、暫くしてから「分かったわよ。」とぶっきらぼうに呟いた。
残りの麦酒を飲み干すと、怠そうに席を立つ。
そして思い立ったように拓海の方を見ると、バッと人差し指を向けた。
「瀬上拓海。いくら可愛いからって紗和に手出したら、ま じ で 殺(や)るから。覚悟しといて」
『か、かわ、』
「………おー、怖。」
怖い。と言いながらも口元は弧を描く拓海。
凛衣はそれを鋭い炯眼で睨みつけると、ふんっと勢いよく顔を逸らして女子が集っている方へ行ってしまった。
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