第1章

4/13
前へ
/13ページ
次へ
差し出されたのは、赤い線が入った白い陶器のコップ。中にはお茶が入ってる。 「それ。紗和の分。」 ふわりと目を細めると、自分のコップもテーブルに置いた。そして何故か椅子の距離を近づけると、私の隣に座る。 『いいって言ったのに。』 「話してる途中に喉が乾くかもしれないから。」 『…そうだね。ありがと』 そんな些細な拓海の配慮に胸をときめかせる。 馬鹿だな、こんなこと誰にだってするって。 揺れ動いてしまう単純な心に、心中で苦笑い。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加