どこまでも白く、いつまでも隣に

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「私って色で言うところの白が好きなのよね」  窓越しに降り積もる雪を眺めつつ、彼女は唐突に語りだした。 「秋の赤黄を埋め尽くす冬の雪も、今読んでいる字のない小説も、もちろん貴方の前に生けられた花の中から一輪を選ぶとすれば私は迷わず白を手に取るわ」  出逢った時から理解している。 「それは明白な好きだという感情なの────だから貴方が年老いて白髪になってもその先にある骨になっても今より嫌いになることはない。貴方にはそういうものはないの?」 「僕はこうして君の隣にいることを何よりも好きでいるよ」  白を好む彼女の頬が僅かに赤く染まる。彼女にしてみれば失態だったのか、僕の視線から逃れるように顔を窓へと向けてしまった。そこで話は終わりかと思いきや、ふんと鼻をならしてはっきりとした口調で一言。 「面白いじゃない」  窓ガラスに反射する彼女が笑ったようにみえたのは窓を伝う水滴のせいではないと思いたい。
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