優しき魔女 「三秒ルール?」

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 一応私の肩書きは魔術師。  魔術師の社会的地位というのは前世で言えば学校の先生や医者、弁護士と言ったエリートに近い。後は人柄だったり功績だったりで扱いが違うのは前世と同じ。私のような半野良魔術師でも「魔術が使えて学の有る人」という風に思われます。そういう意味では弁護士などと似たような雰囲気もあるやも。    で、変人も多いのが魔術師。私? 普通ですよ?  前世でもそうでしたが若いうちから世間知らずが先生先生!と煽てられればそりゃ精神曲がるってもんです。  私に至っては病弱を理由に全力ニートでしたからね、高くなる鼻も有りませんでしたが。実家では毎日がエブリディサンデー。  昔から本の虫でしたが妹からは「もう本と結婚すれば?」と呆れられました。 「こんだけ愛してるんだから、そろそろ本の妖精とかの美少女が出てきてくれても良いと思うんだ………」  と答えたら本気で脳みその心配をされました。いや冗談ですよ。現実と空想の区別は付けなきゃね、と真顔で答えられるくらいにはこのファンタジー世界に馴染んではいます。  で、新しく1人暮らしとなった家でも立派なヒキコモリをめざしていたのですが、やはり1人暮らし。食料や飲み物といった必需品は外に買いに行かなければなりません。  御用聞きの商人が来るのは一部の貴族や一般人でも金持ち宅のみ。それでも届けて貰う事は可能だが、今度は随分割高になる。送料が掛かるわけだ。  あぁ懐かしいよ、密林・・・恋しいよルァクトゥエン…………  街外れに家があるのも問題で、市場などにいくのも結構歩く。なるべく買い物は一度で済ませヒキコモリたいのだが、せいぜい三日四日分の酒・食料しか運べない。食料はパン・乾燥させた野菜と干し肉。これは一度買えば一ヶ月はもつ。というのも私は酒でエネルギーを補充するタイプなんです。  酒以外に対しては胃腸虚弱なんで。  というわけで現状三、四日に一度はおんもに出動。  特に今は冬。  寒いし荷物が重い。  私はいつも通り、ああ、辛い………重い………もう無理………と考えながら市場から家路に着こうと荷物を抱え大通りを歩いていたのです。  ロバや馬は邪魔だし世話が大変そうだから、台車的な何かを手に入れられないかと考えながら、人通りの多い道をフラフラ歩く私。
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