優しき魔女 「行水ポロリシーン!」

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 帰宅するため町外れの我が家に向かって歩く私。少女は顎が疲れたらしく食べかけのパンを大事そうに抱えたまま後ろから付いてきました。  途中、喉が渇いたのか水溜りに向かって跪き、口を付けようとするのを見て、慌てて首に繋がった縄を引っ張る私。 「ゥグッゴホッ」と首が絞まり呻き声を一瞬上げ咽る少女。  その水溜りは馬の小便か、屋内で貯められた人の尿か何かでしょう。 「我慢しなさい」  と睨み付け、歩き続けます。途中、小さな川、水路があるのでそこで体を洗わせる。この辺りの住民が度々そこで体を洗っているのを見かけるので、問題はなかろう。  臭いが酷かったですからね。ただでさえ私は病弱なのです。不衛生な奴隷を家に上げたら良くて腹痛、悪くて死亡する気がしてなりませんでした。 「つ、つ、ぅっ!」  冬が始まったばかりとはいえ、水路の水は相当冷たい。恐らく手で触るだけで刺すように痛みを感じるでしょう。自分なら心臓麻痺を起こしかねない水温だが、知ったことではありません。 「早くしなさい。待ってる方も寒いし」  わお。我ながら鬼畜ですね!  でもね、私は鬼畜だとしても、彼女は家畜同然なのです。この世界では奴隷は人間ではありませんから。良くて愛玩動物です。  少女の震える手、足、頬。真っ青になる唇、怯える目。申し訳ばかりに纏っていた腰巻・ボロ切れは吸った水の重みに耐え切れずずり落ち少女の秘部が露わになりました。  でも、家畜ですからね。何を思うことが御座いますでしょう。  少女は慌ててずり落ちたボロ切れを拾いまた腰に結びなおします。上着?大人の雌奴隷ならば着けていることが多いですが子供の場合は下半身だけですよ。経費削減って奴ですかね。  少女は私に言われたとおり、体を擦るように素手でこすり汚れを落としていきました。  五分くらいでしょうか、動きが明らかに鈍くなり、あまりの冷たさからか片足立ちを交互に行い洗おうとし転びかねない状況になったのでそろそろ限界か、と判断。縄を引っ張って水路から出させました。  もうすぐ我が家に着くとは言え、このまま歩かせれば下手すれば肺炎で死にます。奴隷商に売っ払うにしても死なれては銅貨一枚どころか屑鉄一欠けらにもなりません。むしろ遺体の処分費用および登録抹消費用を国から請求されます。
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