優しき魔女 「お役所仕事は異世界だろうと共通らしい」

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 私の奴隷はよほど干し肉が気に入ったのか昼ごはんからずっと噛んでます。 意地汚い子です。  一時間ほどして呼ばれました。 「はい。じゃあこちらにサインして」  受付のおじさんに言われるがままサイン。色々規約とか注意事項とか掛かれてます。やはり逃亡された場合の注意書きが一番大きく掛かれてますね。売買については証書交付後翌日から出来る、と明記されてました。  あー、良かった。明日、早速売ってこなきゃ! 「……あんた、初めてかい?」  受付のおっさんに聞かれました。 「はぁ」 「……ふぅ。じゃあ、呼ばれるまで待つように」  苦笑するおっさん。ん?何か問題が?  と立っていたら若いお兄さんが近づいてきました。チャラい赤毛のお兄さんです。腰に剣を携え荷物は肩から斜め掛けの冒険者の風体。  私は男の人が基本的に苦手です。父と兄以外は恐怖の対象。別に前世でも現世でもトラウマになるような事件に巻き込まれたわけじゃないのですが、苦手なのです。特に男らしい男が苦手です。  一度お兄ちゃんの仕事場に忘れていったお弁当を持っていったときには卒倒しそうになりました。大勢のマッチョマンが半裸で詰め所をウロウロしてたのですから。誰得だよ、こいつら捕まえる部署つくれよ、と思ったものです。  正直、男性に対しては生理的嫌悪と言っても良い感じです。 「心付け、渡さないと明日になっても呼ばれないよ?」  と苦笑されました。  へー。なるほどー、と。正直、役所って初めて来たんですよ。  魔術師免許の交付の時は 「早く貰ってこい!!」  と怒る父に 「忙しいからやだ。エリーに行かせりゃいいじゃん」  とダラダラ寝転がって言ったら 「何でお姉ちゃんのを私が取りにいかなきゃならないのよ!?」 「グェ!」  と妹のエリカにお腹をストンピングされたのを思い出します。  それでも取りにいかない私。  大声で怒る父。  一緒になって騒ぐエリー。 「うるせぇ!! 親父が取りにいけばいいだろ!? ミサキが可哀相だろ!?」 『何で!?』  と父さんとエリーをハモらせたお兄ちゃん。 「そうだそうだー」
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