優しき魔女 「お役所仕事は異世界だろうと共通らしい」

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「全く! 親父はいい年して何を考えているんだ! どう考えたっておかしいだろうが! 情けない!」 「おま!? どう考えたってお前の言ってることのほうがおかしいだろ!?」 「言い訳などとは嘆かわしい! もう良い! 俺が取りに行く! 全く!」 「お兄ちゃん格好良いー」 「……なぁ、エリー……」 「父さん……あの、悪いのはこの人ですから……お兄ちゃんは、その、ちょっと妹絡むとおかしくなるだけで……悪い人じゃないんです……」 「超便利だよね、お兄ちゃんって」 「死ねよマジで!」 「グェ!」  ……今となっては良い思い出です。ええ、家を出てみれば、お金がちょっと足りなくなるくらいで五月蝿い父親は居ませんからね。 「……いくら位ですか?」  赤毛のチャラ男に聞きます。解らないことは自分で調べるのは面倒なので教えて君になれば良いのです。あまりやると嫌われますけどね、ネットでは。 「青銅貨一枚で十分だよ」  ちなみに銅貨一枚=約一万円程。青銅貨ですと十枚で銅貨一枚分、つまりは千円くらいの感覚です。  ……えぇ……ワインがボトルで三本買えるやん…………  ちなみに私の非常勤魔術師としての収入は一ヶ月に銅貨五枚。  少ないって思います? 家賃払わず光熱費も必要ない、その上私は食料は殆ど必要としません。銅貨五枚は殆どお酒と本に消えます。  そもそも年間数回の出動で月収銅貨五枚=約五万円ですよ? ありがたやありがたや。まぁ、有事の際はそれなりにこき使われますが、適当にサボるのも慣れたものなのです。  ちなみに本は印刷技術がそれなりに発達していますがちょっとした専門書でも銅貨一枚は消えます。ファック! 幸い図書館が充実しているのでそこまで困りませんけどね。  図書館は魔術師は利用無料なのです。借りる場合は保証金と持ち出し料金が掛かりますけど。魔術師は結構色んな面で優遇されています。    私の場合は学校には行かずお兄ちゃん家庭教師と独学です。だって生まれながらの魂に刻まれたエリートヒキコモリですから。前世から引き篭もってる人間なんて世界広しと言えど私くらいでしょうよ?  ちなみに兄は学校卒業後、予定通り騎士団に入団しました。王都などではなく地元を希望したのは可愛い妹二人が居るからなのは明白。
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