小指を切る、針を飲む、目を突く。

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どうしたって時は進み、締切もいつの間にか過ぎて、年末頃には俺ではない人の名前と俺のではない作品の題名が雑誌かネットに公開される。
おめでとう。
まだ居もしない架空の受賞者にお祝いの言葉を呟いて、俺は現実から目を背ける。
日常。今日も日常。明日も日常。俺はこうして何も満たされないまま、何も変われないまま、幼い俺と結んだ『約束』を、何事もなかったかのように破るのだ。