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本屋のポップを眺めながら、身体は店の奥へ奥へと進む。
行く先は文庫新刊の場所。そこが終われば次はライトノベル新刊。さらにマンガ新刊。ぐるりと一周するだけでざっと一時間はかかる。古本屋のように手にとって読み始めないだけ早く終わる作業。
作業、か。まあ趣味みたいなものだ。
文庫新刊は最近はハードカバー新刊より場所を取るようになってきたように思う。ぱっと視線を滑らせれば、キャラクター小説。ライトノベルじゃない。かわいい女の子の絵の表紙の『文庫本』。
ひとつ手にとって裏表紙をみればあらすじが書いてある。目を通す。……まあライトノベルほど突拍子がないことは書いてない。
本を元に戻し、気付かぬうちにため息が出ていた。慌てて吸う。
エンターテインメント性。
小説の質とか、メッセージ性とか、そんなの関係なくて、ただ『売れる作品』を『売れる』ようにする。作者から見れば、『書きたい作品』を書くのではなく、『売れる作品』を『書かなくてはいけない』。
そこで『売れる作品』に大切なのが、エンターテインメント性。
キャラクターは濃いか?
オリジナリティはあるか?
あっと驚く展開は?
ミステリー性はないか?
世間でミステリーや探偵ものが売れる傾向にあるのも、この『エンターテインメント性』を付属させやすいからじゃないか。「あっと驚く展開」も、俺には全部同じに見えるが。
しかし、これら小説のよさとマンガのよさは別だ。
まあマンガはエンターテインメント性の塊だし、小説よりも『売れる作品』と『売れない作品』の差が激しいと思う。有名なマンガ雑誌で連載出来るか出来ないか。すぐに打ち切りになってしまうのか、続くのか。アニメ化したマンガは恐ろしいほど人気が出る。小説よりもマンガのほうが『一世を風靡する』。
少年マンガ、少女マンガ、青年マンガ、レディース、BL…まずそんなふうに分類され、それからファンタジーだとかスポーツだとか恋愛だとかギャグだとか…ジャンルは多岐にわたる。
『売れる作品』が『売れる』中で、一体何が『オリジナリティ』なのか、新人賞の結果の審査員の評価を見ただけの俺にはわからない。
そう、わからない。
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