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卒業文集に書いた夢を消せるわけでも、今の夢を振り払えるわけでもない。俺はいつだって優柔不断だ。いつだって自信が無い。自分の発想に、自分が生み出したキャラクターに、自分の文章に、自分の言葉に。 それなのに批評するのだ。『今の文学界はクソだ!』と。世界を変えることも出来ないのに。 思えば最近は胸を打つ言葉に出会ってない。俺を縛る言葉にはいつだって縛られ続けているのに。 「ゆびきりげんまん」 「うそついたら」 「はりせんぼんのーます」 「ゆびきった」 この小指はあの日、あの時、あの月の光の上を滑る銀河鉄道に魅せられたときに、切ったのだ。 脳裏に映るのは幼い俺。小指を差し出す俺は未来の俺と小指を絡めた。 「俺は」 「世界中の人を幸せにする」 「小説を書く」 俺は針千本を飲み込むつもりだ。しかしそれをいつにしようか未だに決心がついてないだけだ。
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