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第1章 犯行声明
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僕が住む、板橋のマンションは、裏手に寺院がある。
ベランダから見渡す景色はというと・・・一面が、墓地である。
元妻の真由子は、よく怖がったものだ。
しかし、霊感の無い僕は、今の今まで、怖いなどと思った事は一度も無かった。
それと言うのも・・・
無信心で、超常現象や超能力など非科学的なものは一切信用しない、超現実主義の人間だったからだ。
しかし、今の僕は違っていた。
訳の分からない恐怖に震えている。
愛する恋人の死。
それも、オカルトじみた殺害によるもの。
そして、生まれて初めて、この目で見た超能力の現実。
それも、血の繋がった我が子の能力によるもの。
その全てが、僕の価値観を根底から破壊した。
言葉に出来ない、悲しみと憤り、そして恐怖。
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