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「ち…ちがうって」 ぼくは不覚にも顔を赤くしていたようだ。 「ナツメのやつアリザと結婚するってよー」 「ひゅーひゅー」 「うるさいっ」 騒ぎ出すゲーム小僧たちをだまらせて、本題に入る。 「で、何を相談しにきたの…あ、もしかして本当に告白だった?ごめーん」 またその話かよ。スルーしよう。 「ちょっと見てほしいものがあるんだ。」 「今じゃないとだめなの?私、手が空いてないのよ」 ほら、と彼女は賑わっている店内を見渡す。 でもぼくは知っている。この店の真実を。  「具は自由に使って下さい」のボロい張り紙は客に盛り付けをさせようという彼女の策略に違いない。しかも店の裏ではアリザ…ではなくメリアがしなやかな手つきで麺を切っている。  だから実質、アリザはサボりなのだ。
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